Le Vent d'Est

Le Vent d'Est メニューへ

5月31日(木)
マラッムまではいかないが、南よりの風が吹いて、ラグーンは白波が立っている。
昼間は太陽が照るが、この季節になると、暑がるよりも、ひなたぼっこ気分で日に当たりたくなる。
夕方5時も過ぎると、急速に風が冷たくなってくる。
疲れて仕事から戻ると、夫がキッチンの窓から手を振っている。ずいぶん良くなったようだ。
「ほうら!」と言って、火にかけた鍋のふたを開けてみせてくれる。オックステールシチューだ!
駄目じゃないの、寝ていないと、と言いながら、パブロフの犬よろしく涎が出そうになる私なのだった。

5月30日(水)
熱がひどく、夫もさすがに「今日は働けない・・・」。診療所へ行ったら、やはり、おそらくデングだろうというお医者様の話。土曜まで様子を見て回復しなかったら、採血しましょうということになった。
デングの可能性があるときは、ひたすらドリプランを4時間ごとに飲んで、あとは安静にして水分をよくとる。特効薬というものはなく、対症療法のみ。アスピリンは、飲んではいけないのだそうだ。
デング熱にはいくつか種類があって、この国ではほとんど見ないが、出血性のこわい型があり、もしこれにかかっていた場合、アスピリンで出血を引き起こす可能性があるのだそうだ。おおこわ。

5月29日(火)
土曜の夜から、夫が熱を出した。疲れがたまると時々出る、鼻炎のひどいのだろうと思っていた。
月曜の朝になっても熱が下がらないので、休めばと言ったのだが、ドリプラン(DOLIPRANE、フランスの薬で、熱や頭痛というとこれを飲む)でだましだまし今日まで働いてしまった。
が、戻ってくるとばったり倒れた。こ、これは・・・。正真正銘ホンマモノのデング熱ではないか?
熱以外にこれといった症状がなく、薬が効いている間は少し下がり、切れるとおそろしい勢いで上がり、寒がったり暑がったりの繰り返し。とうとう夫がデングの毒牙にかかってしまったか・・・。

5月26日(土)
朝から曇って涼しいので、それ草刈日和だとばかりに、物置からマシーンを取り出してきて、夫が前庭の草刈。前庭には、ブーゲンビリアやティアレ、ハイビスカスなどがちょこちょこと植えてあるから、周りの芝を刈るのにも手間がかかる。裏庭には、背の高い椰子の木が生えているだけで、障害物がほとんどないので、前庭に比べてずっと楽に作業ができるのだ。それで、大変なほうの前庭を先に終わらせる。作業を始めたら、どんどん晴れてきてしまい、なるだけ日陰を選んでパンの木の落ち葉拾いをする私まで汗だくになって、めまいがしてしまった。

5月25日(金)
南よりの風が吹いて、ラグーンが荒れているため、仕事が少し早めの2時半に終了。片づけをしていたら、ハネムーンの日本人カップルの方がファンカーでいらしてくださった。モーレアから今日、ランギロアに着いたのだそうだ。「モーレアよりここのほうがいい!全部ここにすれば良かった」とうれしいことを言ってくださる。ボラボラとランギ、という組み合わせもけっこう多いのだが、たいていの方たちが「ボラボラよりランギのほうがいい」とおっしゃる。まあ、山のあるモーレアやボラボラと、環礁の島ランギロアとでは、まったく違った魅力があるから、その人の好みなのだけれど。
新婚旅行ということもあって、それぞれのお母様にひとつずつ、それからおばあさまやお友達、始めは「自分のはいらない」とおっしゃっていたのだが、優しい旦那様のすすめもあってご自分用にも。
今ブティックに並んでいるのは、なかなかまとまって出てくることが少ない、色の深いピーコックグリーン。本当にきれいで、一緒に選んでいても楽しい。

5月24日(木)
今日は、キリスト教の祭日、アサンシオンなのだが、ゴーギャンパールは仕事。祭日なのになあ、と思うだけで体が動かなくなる。いやいや働いたりして、プロとは呼べませんね。仕事がたてこんでいるから、いたしかたない。
そういえば、タヒチ島に住む友人夫妻のところで、子犬が生まれたという知らせがあった。
なんと9匹も! 全部引き取り手が見つかるといいんだけど、と頭を悩ませている。子犬・・・この言葉には、抗いがたい魅力がある。聞いただけで、ぼーっとなってしまう。ポセイドンもかわいいけれど
他にもあと1匹か2匹ちいちゃいのがいたら、もっとかわいいだろうなあ・・・気がつくと、ポセイドンをつかまえて耳元で「おまえも妹か弟がほしいかい」などと呟いている私って、ちょっと危ないかも・・・。その友人自身、出産間近で、もういつ生まれてもおかしくない状態だ。どっちが先かなどと言っていたのだが、わんちゃんの方が先になった。

5月22日(火)
日が昇っても外は暗い。曇った中仕事場へ行ったら、しばらくして雨が降り出した。寒いし暗いしで、今日は一日こんなだろうかと憂鬱になっていたら、昼前に雨が上がって、太陽が顔を出した。
しかし、空には相変わらず灰色の雲が居座っている。夕暮れを待たずして、また雨が降り出した。どしゃぶりの中、仕事道具の片付けをして、帰宅。ポセイドンが雨に濡れながら迎えに出てきた。いつもは濡れるのをいやがって、屋根のあるところから出て来ないのだが・・・。湿った服を着替えて、お湯を沸かす。ホットミルクティがおいしい。

5月21日(月)
グレーの絵の具をべったり塗りつけたような空が広がって、今にも降りそうではあったが、仕事中は、なんとかもった。汗をかかずに仕事できる季節はうれしいのだが、今度は肌寒い日も増えてくる。

5月20日(日)
朝から雲ひとつない晴天で、ものすごく暑い。昨日は貿易風が吹いて、あんなに涼しかったのに、今日はほとんど風が吹かない。
この日記を読んでくださっている方から、お見舞いのメールを何通かいただいた。「それで結局デングだったんですか?」という問い合わせ(?)もあった。結論としては、デング熱ではなかったようだ。
デング特有の、発病してから4〜6日目に出る発疹というのが、出なかった。夫も発病しなかったし。
治ってから、あちこちで「デングかもって言われたのよ」と話すと、「どこそこの誰それも、デングにかかったらしい」という話が飛び出して、あらら、けっこうこのランギロアでも流行しているのね。
蚊はずいぶん減っているし、季節は乾季へと移ったけれど、まだ注意したほうがよさそうだ。
家にいるときは、蚊取り線香を絶やさない。

5月19日(土)
天気雨が降る。太陽の光がさんさんと降り注ぐ中、椰子の葉をさわさわと揺らしながら細かい雨が降る。金色の光のシャワーのようだ。外に飛び出していって、全身に浴びたくなる。
ガレージで、夫の散髪。本当は2週間前にするはずだったのだが、病気をしてしまったためできなかった。かなり伸びていて、時間がかかる。本日のBGMは、West Coast All Stars。先日ランギでお会いした、音楽に詳しいIさんが録音して送ってきてくださったMDだ。なつかしの名曲が、のびのびと気持ちのよいアカペラでよみがえる。今回も、出来栄えは上々だ。夫も大満足。

5月18日(金)
今日も一日ラグーンはべた凪ぎだった。仕事しながら、時々窓の外に目をやると、あまりの青さに
目がつぶれそうになる。船が通っていくときに水面に出来る引き波が、とても美しい。
会社のマリーナも完成したことだし、仕事の後は撮影。この椰子の木は、よそから引っこ抜いて
移植されたのだが、元気に根付いたようだ。

5月17日(木)
今週初めから吹いて、ラグーンを波立たせていたマラッムも、すっかりやんだ。
穏やかで美しい1日だった。濃いブルーと、パウダーのようなふんわりしたブルーがどこまでも続いていて、海を眺めていると、ただでさえゆったりとした時間が、さらに静かに止まっているかのように
感じられる。

5月10日(木)
採血。この結果で、デング熱かどうかが判明するらしい。医師自ら採血をすると聞いて、いやな予感はしていた。だって、こういうことが上手なのって、看護婦(看護士)さんじゃないですか、普通。
採血は優先的にするから、という話だったので「余裕だわ」と出かけていったら、10人近い人が待っていて、みーーんな採血なんですと。がくっ。
悪い予感は的中して、医師は私の採血をもののみごとに失敗した。日本でもよく、血管が細いから
針を入れにくいとか言われるけれど、はっきりいってあんな目に合わされたのは初めてだ。
失敗するのは仕方がないにしても、患者を前にして「うわ失敗した!」「くそ!」とか言わないで
ほしい。2箇所失敗して、赤黒い血がぴゅっと吹き出す。あららら・・・なにより私をパニックに陥らせそうになったのは、そのときの医師の狼狽ぶりだ。医師にはいついかなるときも冷静でいてもらわないと困る。採血を失敗したくらいで、あんなに泡くってあわてふためかなくてもいいのに・・・。
しかし、何度も謝っていて、かわいそうなくらいだった。心優しく計算高い私は、今後のこともあるし、「どうってことないですよ」と笑って答えておいた。

5月9日(水)
今日もお尻に注射。熱はずいぶん下がった。採尿したら、きれいに澄んでいる。血尿は出ているが、膿と蛋白はなくなった。

天気はあまりいいとはいえないが、海は凪いでいる。小さなカタマランが、ゆったりとラグーンをすべっていくのが庭からよく見えた。

5月8日(火)
朝になっても薄暗く、しとしと雨。気温も室内で25度しかない。
熱はあまり下がらない。やはりデングなのだろうか。今日は祭日なので、8時半から10時まで開いているということで8時40分ころ診療所へ。もうすでに3人が待っている。が、医者が来ている気配はない。寝坊してるのかしら。9時を過ぎてもやってこない。と、マダムがにこにこしながらやって来て、「朝一番のフライトに乗って来るんばずだったんだけど満席で、乗れなくてどうのこうので」ああ、昨日あのあとパペーテに行ったのだな。それで? 何時になったら診てもらえるのかしら。
みんなが一番知りたいのはそのことなのに、言ってくれない。「それで何時になったら来るの」とうとう誰かがたずねる。「10時よ」・・・結局診てもらえて帰宅したのは、11時を過ぎていた。今日も痛い注射をお尻に打たれた。デング熱の可能性は消えないのだそうだ。明日もまた注射を打って、採尿。あさっては、採血しなければならないらしい。

午後になって晴れてきて、蒸し暑くなった。

5月7日(月)
解熱剤を飲んでいるけれど、それでも熱は39度もある。下腹が痛く、足の付け根のリンパ腺も痛む。これはまずいと、医者へ。病気になったときに、何がつらいといって、病状をフランス語で説明して、医者の話を一生懸命理解しなければならないのがつらい。日本語でだって、高熱があるときに、きちんと話をするのは苦痛だというのに・・・。おまけにこのお医者さま、なんだか知らないがもってまわった言い回しをなさるのがお好き。「このような状況では・・」「死に至らしめるような病気ではないが不愉快なものだ」とかなんとか。勘弁して! フランス人は、階層や知的レベルによって、使う言語形態が違うと、遠い昔に大学の授業かなにかで聞いた気がするけれど、こちらはそれどころではない。高熱に浮かされた、それも日本人なのよ、私は。あああ、、、

これこれこうで、と説明すると、「きっとデング熱だろう」。ああやはりそうですか。ランギロアで出たデング患者第一号は、うちのすぐご近所なのだそうだ。ということは、その患者を刺した蚊がすぐ身近にいるということで・・・。「気をつけないと」と言われても、知らなかったもん、そんなこと。私がデングだとしたら、私を刺した蚊は夫のことも刺すだろうから、夫もほぼ100%発病するということで、夫が
職場で蚊に刺されたら、会社で働いている50人からの人々もデングウィルスを持った蚊に刺されて、
あっという間に感染爆発だ。

が、おしっこをすると痛くて、と付け加えると、「それはラッキーかもしれない」。?
採尿すると、血と膿と蛋白が出ているということ。明日になって熱が下がっていれば、単なる尿路感染症で、デング熱ではないだろうという話だ。デング熱よりは、こっちのほうはましということか。が、デング熱は、往々にして尿路感染症を併発するのだそうだ。明日もまた注射を打ちに行かなければならない。今週いっぱい仕事を休むようにという保険の書類を書いてくれた。

5月6日(日)
空には厚い雲がいすわっていて、朝からずっと降ったりやんだり。
なんだか体のふしぶしが痛いなあと思っていたら、夜になって高熱が出た。39.6度。こんなに高い熱を出したのは、久しぶりだ。何だろう? ふと、金曜日に新聞で読んだデング熱の記事が頭によみがえる。タヒチ島、ボラボラ島と猛威を振るったデング熱が今後はトゥアモトゥ諸島へ・・・という内容だった。島ごとに発病者の数が出ていて、なんとランギロア1名! 誰だろう。

5月4日(金)
夜、最近Ohotuの船着場にオープンしたルロット、Chez LuLuへ行ってみる。Ohotuというのは、ティプタ側に近いマリーナのこと。メニューはいろいろ、シャオメン、ステーキフリット、エビカレー、サシミ、ポワソンクリュ、チキンなどなど。シャオメンとサシミ、それからプレ・サラドゥ・リュス(鶏ももとポテトサラダ)をテイクアウトする。以前キアオラのバーで働いていたデデ(サンタクロースおじさん)が、バーベキューコーナーで肉を焼いていた。

5月3日(木)
ようやく季節が変わったようだ。仕事をしていても、あまり汗をかかない。ポットに入れて持っていっている、ミントシロップを混ぜた冷たい水を、そろそろ温かいミントティーに変えようかと思う。
吹く風は、なんとなく秋風めいていて、日が暮れるのは早い。家へ戻ってきてからうかうかしていると、ポセイドンの散歩に出かける頃には、日が傾きはじめている。これからもっと涼しくなるだろう。

5月1日(火)
今日はメーデー。フランス語でいうと、フェット・デュ・トラヴァイユ。
ラグーンは凪いで、そよそよと風が吹き、太陽の光は明るく、気持ちのいい日となった。
午前中は、ポセイドンをシャンプーしてやる。ずいぶん久しく洗ってやっていなかったような・・・。もちろん時々海に入れて、ごしごししてやることはしているのだが、ちゃんとシャンプーをつけて洗ったのがいつのことなのは、しまった、思い出せない。犬のくさい匂いは、実は大好き。はじめは「うーんちょっと犬くさいかな」というくらいなのがだんだん発酵・醸造が進み、イカの塩辛の匂いになってくると、もうたまりません。特に耳の付け根の匂いといったら、もう!悶絶しそうなくらいかぐわしい。それを過ぎると今度は、靴下の匂い(シツレイ!)にまで熟してしまい、さすがにちょっとこれはまずいかなという香りになる。とにかく、天気もいいし、庭の椰子の木の下にある屋外シャワーで、シャンプーをたっぷりつけて、夫が手櫛でブラッシング。私は横でアシスタントをつとめる。シャンプーのいい匂いに包まれて、神妙にしているけれど、ほんわか気持ちよさそうな顔のポセイドンを見ていると、なんだか幸せ。終わると、何かに追いかけられているかのように、庭をものすごいスピードで駆け回り、草の上にどすんと転がって、体を地面にこすりつける。なんなんでしょうかね、この行動は。

午後は、水着に着替えて海水浴。パレオと雑誌を持って、すぐ裏にあるビーチへトコトコと歩いて行く。海の水は、暖かい。首までつかると、目の高さにある海の表面は、穏やかに凪いで、とろりと真珠色に輝いている。少し沖のほうでは、魚が群れているのだろう、海鳥たちがたくさん集まっている。カヤックを漕いだ人が通り過ぎていく。白砂の上を歩くと、水中で細かい砂が舞い、光が反射してきらきらと光る。泳ぎもせず、シュノーケリングもせずただひたすら水の中でゆらゆらと時間を過ごす。しばらくすると陸へ上がり、南洋杉の木陰に敷いたパレオの上で、雑誌をめくる。
波のないラグーンからは音は聞こえて来ず、頭の上からは南洋杉を抜けて吹く風の不思議な音が、背中のほうからは外洋の荒々しい波の音が響いてくる。そのうちじりじりと背中が焼けてくると、また海へ。至福の繰り返し。日焼けといえば、こちらへ来てから、なるだけ水着のあとをつけずに体を焼きたいと思うようになった。日本にいたときは、世間には「水着のあとがセクシー」みたいな風潮があったように思うけれど、こちらではその逆。特にフランス人たちは、格好が悪いからと、トップレスになったり、ほとんど裸みたいな露出度の高い水着を着たりしている。はじめは水着のあとなんて気にしていなかったのだが、背中や胸元が大きくあいたワンピースなどを着たときに、水着のあとがあったりすると格好悪いと思うように、いつしかなっていた。とはいえ、トップレスにはなりません。せいぜい肩紐のあとをつけないようにするくらいで。

Le Vent d'Est メニューへ