Le Vent d'Est

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8月31日(金)
朝からラグーンがきれいに凪いでいたので、今日は仕事のあとカヤックに乗ろうかな、と思っていたら午後から風が出てきて、細かい波が立ち始めてしまった。仕事道具を片付けて、村のマガザン(お店)へでかける。今週の頭に見つけて、買おうかどうか夫と二人、迷いに迷っていた、庭用のテーブルを買うことにした。白いプラスティックの、長方形の小さめなテーブルだ。お値段は3000フラン(約2700円)。これなら軽いし雨に濡れてもOK。夜でも昼でも、気軽に庭で食事ができるようになる! 昼はウルの木陰で青空を見上げながらランチ、夜は小さなライトをつけるだけで、満天の星空を見ながら食事・・・。パソコンだって庭でできる! 前庭に面したテラスもお気に入りの場所ではあるのだけれど、とんでもなくうるさい騒音を発するバイクや、「せまいランギそんなに急いでどこへ行く」と言いたくなるほど飛ばしている車がいたりして、静かな夜は気になって仕方がない。本当に、ランギロアも都会(?)になったものだ。私たちが来たばかりの頃は、ぼろいピックアップがたま〜に道を走っているくらいで、さびしいくらいだったけれど・・・。
とにかく、さらなる静けさを求めて、裏庭に避難するようになってきた今日この頃だ。

さっそく買ったテーブルで、今夜はパスタととっておきの赤ワインなど開けて、星空の下夕ご飯・・・のはずなのだが、空にはぶあつい雲がかかっている。と思うと、ぱらぱらと降ってきた。
パスタを茹でながら、どうするか、雲行き次第・・・。
結局雨はやまず、テラスで食事をした。洗い物を終える頃にはやんだので、「よーし、食後酒を裏庭で飲もう!」と、氷を入れたグラスとワイルドターキー12年もののボトルを手に、ウルの木の下へ。
残念ながら星はほとんど見えないが、月あかりのおかげで雲のさまざまな形がよく見えた。
あさってくらいに満月になるのかな。

8月25日(土)
ものすごくいい天気。からっと晴れて、空は真っ青。椰子の木の葉っぱは、空高くくっきりと光っている。平日は5時前に起きる私も、今日は6時までベッドの中でゆっくりとさせてもらった。ポセイドンは容赦がないから、夫に散歩に連れ出してもらった。ひんやりした空気とベッドリネンの感触を、心ゆくまで味わって、起床。ポセイドンを乗せて、村のダニエルまで買い物。船が着いたばかりなせいか、狭い店の中には色々なものがあふれている。冷蔵庫の中や棚の上をじっくりと観察して、フランスパン2本を買う。フランスパンにパテやガーリック&ハーブ入りクリームチーズを塗って、朝食。
今週は忙しくて、家のことを何もできなかったため、庭の落ち葉がたまりにたまっている。熊手をもってさあ出動! 茶色くなった葉が、あちこちに散らばっていて、けっこうな量だ。汗は流れてくるけれど、ひんやりした風がどんどん乾かしてくれる。こんな風に気持ちのいい日が、年に何回かはあるものだ。

ラグーンからの風があまりに心地よいので、お昼は裏庭の木陰で食べることにする。シーツを縫い合わせて作った特大パレオを芝生の上に敷いて、ローテーブルとクッションを持ち出す。メニューは、中華ソーセージと玉葱・ピーマン・ニンジン・乾燥桜海老を使ったかき揚げと、冷やしうどん。Hinanoをおともにおなかいっぱい食べて、あとはそのまま地面にごろり。椰子の葉とウルの葉を見上げながら、風に吹かれてとろ〜り。こんなに幸せでいいのかしら。おいしいものを食べてお腹いっぱいになると幸福感で満たされる、単純な私・・・

地面に仰向けになると、椰子の葉とウルの木・・・

そして迫り来るポン吉の顔・・・

8月23日(木)
夕べは断続的に雨が降り続き、かなりまとまった量となった。朝になったら、ラグーンから強い風が吹いている。マラッムだ。仕事場では、すぐ背後にラグーンがあるため、ざっぶんどっしゃんと、波が砕ける音がしていて、ちょっとこわかった。早めに仕事を終わろうとマネージャーが言ってくれないかと淡い期待を抱いていたのだが、だんだん風も弱まってきてしまい、いつもどおりに終了。
夜は、久しぶりにワインを開けた。2000年のボルドーだ。とても若い味。「ぶどう酒」という感じのワインだ。

(このあとさかのぼって続きます。)

8月12日(日)
数日前まではあんなに晴天が続いていたのに、昨日くらいから不安定な天候が始まった。昼間はかなり暑くなるし、雨季の走りだろうか。とはいえ、今日は南東の強い風、いわゆるマラッムが吹いている。これはこの時季特有のものだ。ラグーンは白波がたって、大荒れ。時々細かい雨がまじる。明日は仕事始めだというのに、こんな天気だったらいやだな・・・。

お昼頃、タヒチ島へと移動するNさんたちをお見送りに空港へ。金曜日にすっかりご馳走になってしまったので、少しでもお礼がしたいと思い、おにぎりを握って持って行った。ゆかりと梅干のおにぎり、喜んでもらえたかな。お酒好きなみなさんなので、地ビールのあるビストロ、例のトロワ・ブラッスールをおすすめした。私も、行きたい・・・

8月11日(土)
来週末に、友人Kさんご夫妻が遊びに来てくれることになっているので、客間の大掃除をする。Kさんたちは、ランギロアのすぐお隣の島ティケハウに滞在して、最後にランギへ寄って1泊する予定。お二人の到着にあわせて、庭のバナナを食べごろにしなくては! 何曜日にバナニエから切り離そうか。

午後7時、キャロリーヌをピックアップして、はるばるティプタパス脇のペンションLes Relais de Josephine(ウェブサイトはこちら)へ。3人して期待に胸を膨らませている。昨日から何を着ていこうかと、二人で討論していたくらいだから、気合が入っている。夫など、ランギロアでは滅多にはかない長ズボンと革靴プラス靴下。長ズボンはチノパンツだけれど、ベルトもちゃんとしめて、ここでは正装だ。私も、肩を大きく出したスリップドレス。寒いかもしれないから、カーディガンを持って・・。

パーキングに車を止めて、てくてくと歩く。外灯がないので、真っ暗。暗闇で番犬にぎゃんぎゃん吠えられるから、とてもこわい。マダムの出迎えを受けると、キャロリーヌがさっそくそのことを彼女に言っている。「犬は囲いの中にいて、その上つないであるから大丈夫よ」。
席へ案内されると、さっそくキャロリーヌのきびしいチェックが入る。「照明が多すぎる」「花がない。ブーゲンビリアが必要だわ」「地面に砂をまかないと」。アペリティフを飲みながら、ミシュランの調査員にでもなったつもりで、3人とも「ナプキンに染みがある」だのどうのこうの。でも、「素敵ね」と意見が一致。あまりに洒落た雰囲気なものだから、あら捜ししたくなるのが人情というもの。
目の前の海はまさしくティプタの大きなパスなので、コテージの前で、跳ねるイルカをぼんやりと眺めるなんていうことが可能。でも、泳ぐのにはあまり向かないかもしれない。それにしても、テーブルのすぐ前に海があって、波の音を聞きながら食事できるなんて、すごくロマンティック。

夫がスローシャッターで、それも酔って撮影したため、ぼけてしまいました。(いいわけ)

さて、お料理。アントレは、マグロの刺身ア・ラ・ジャワネーズ。香辛料がきいていて、味つけは濃い目だけれど、おいしい。メインは、マヒマヒのはちみつソースとパパイユ・ヴェール(グリーンパパイヤ)のグラタン。このふたつのお料理、特にパパイヤのほうは、びっくりした。3人ともうなった。エスニック・フレンチとでもいうのだろうか。ざっくりとおろしたパパイヤが、口に入れるとふわっととろける。熱いバターがかかっているのか? 3人でひとしきり感心していると、ドクターが現れた。あいさつをして、「お料理はどなたが?」とたずねると、マダムがなさっているのだということ。
ワインはSaumur(ソミュール)、これもけっこうなお味でした。酔いも手伝って、まるで別世界にいる気分。キャロリーヌも、「ランギロアにいるんじゃないみたい」。
デザートは、バターたっぷりのレモンタルト。最後にお茶をいただいて、お値段はひとり3500フラン。ワイン1本とアペリティフを入れると、ひとり5000フランほど。3人の判定は、「高くない」。とはいえ、お料理の量は、とてもお上品。夫は、足りなかったらしい。それに、マダムやドクターとの会話も、ディナーの一部のようなものだから、必要最小限のフランス語しかしゃべりたくないような夜は、とても来る気にはなれないだろう。フランス語に堪能な(?)キャロリーヌと一緒で、良かった。

帰りは、ゲートのそばに灯りがおかれていて、安心して歩けた。うるさい犬は、夫が小石をほうりこんだら、静かになった。空は満天の星空。

8月10日(金)
今日も、こわいくらいいい天気。午後は、久しぶりにカヤックに乗った。午前中に、夫が汗まみれになってキャリアを作ったので、さっそく使ってみた。カヤックは長くて大きくて重いし、ビーチまで運ぶのがついつい億劫になる。車のギャラリに載せたこともあったが、帰りには海水に濡れているから、車まで洗わなくてはいけなくなるし、人間の体も濡れているから、車の運転席も濡れてしまう。ほかにも、小さな手押し車に載せて運んだりと、試行錯誤はあったのだが、どれも問題点が残っていたのだった。これで、もっと頻繁にカヤッキングをするようになるだろうか?
ポセイドンも乗せて、午後のラグーンへすべりだす。ああ、なんて気持ちがいいのだろう。見渡す限り青い海。海は広いな大きいな。気持ちまで青く染まってしまいそうだ。

太陽を背にして、キアオラ方向へ進む。ライララゴンの前に来ると、ビーチに日本人らしき姿が見えてくる。いたいた、メールをくださっていたダイバーのグループNさんたちだ。カヤックを波打ち際に寄せる。このペンションには、ポセイドンと険悪な仲の犬がいるから、上陸はできない。親切にも、Nさんがよく冷えたHinanoビールをくださった。これで、ほろ酔い気分で、サンセットクルージングをきめこむことができる。まるで、ビールをもらいに寄ったようだ。
夜は、そのNさんたちが夕ご飯に誘ってくださったので、ライララゴンへと出かけていく。オーナーが変わる前は、中国系の奥さん(Hinanoという名前だったっけ・・)が作る中華料理がおいしくて、ディナーをしに行ったものだった。もう何年ぶりだろう、ここのレストランへ足を踏み入れるのは。
お料理は薄味でおいしく、ワインも色々とそろっている。Nさんたちは、6人グループ。さまざまな職業の方たちで、ためになるお話を聞かせていただきました。みなさんランギロアは初めてで、海の中のダイナミックなことに感激されていた様子。イルカ、イーグルエイ、マンタ、それに、ハンマーヘッドまで登場したということだから、オールスターキャストでしたね。たいして面白い話をお聞かせできたわけでもないのに、すっかりご馳走になってしまった。

8月9日(木)
雲ひとつない、青空。ラグーンも久しぶりに凪いでいて、ブルーのグラデーションがきれいだ。こんな日は、ミキミキ横のビーチの前を通ると、うっとりとしてしまう。あー海に入りたい!
昨日の夜のニュースで、「買うの買わないの?」と長い事言われつづけてきた、エアタヒチヌイのエアバス2機目が、とうとう購入決定したと言っていた。年末までには、タヒチ・日本間のフライトも増便される・・・かもしれない?

8月8日(水)
自転車に乗って、どこか知らない町の道路を、猛スピードで駆け抜けたり、汚い川に自転車だけが落ちて自分はぴょーんとはねて橋の上に着地したり、といった夢を見ていたら、うなされたらしく、朝は寝坊してしまった。仕事が始まったら5時前に起きなくてはいけないから、少しずつ起きる時間を早くして行こうね、と数日前に夫と決めたのだが。
今日は朝からとてもよい天気。季節が変わってきたのを、ここ数日感じる。冬から春へ、微妙なうつろいだ。空気の匂い(特に早朝と夕方の)、海の色、椰子の葉の色、空の高さ青さ、雲の形。
午前中は、夫が仕事場へ行って道具の準備。私は家で、洗濯と家の中の片付け、メールの返事書き。その後、車にヘリを積んでいつもの場所へ。車をとめて外へ出たとたん、「あ、日差しが変わった」「春だね」と二人で頷きあってしまった。
外洋側は昨日と同じく強い風が吹いていて、リーフでは高い波が音を立てて砕けている。午前10時。潮はひいていて、わずかに地面をひたす外洋からの海水が、太陽の光を受けてキラキラと光っている。夫のヘリは調子よく飛んでいる。今いる場所も、午後になると潮が満ちてきて、海水がどっと流れこんでくることだろう。
昼食後は、土曜日の予約をしがてら、Les Relais de Josephineへ行ってみる。ここが噂の、隠れ家ペンション。どきどきしてしまう。2年ほど前にタヒチ島からランギロアへ引っ越してきて、クリニックを開業したお医者様の、マダムが始めたペンションだ。建てる前から、そして出来上がってからも、何かと話題に上がる宿で、行ってみたくてうずうずしていた。屈強な(?)番犬2匹がわんわん吠えるエントランスから敷地の中へ入ると、まずはドクターご夫妻の自宅(と思われる)が、どっしりと建っている。奥へ進むと、真っ青な海に面して、レストランのある広々した建物と、それをはさんで両側にゲスト用のバンガロー。さらに奥にもバンガローがあるのかもしれないが、ちょっと見えない。
とにかく、感じがいい。お金がかかっていることはわかるが、品よく感じがいい。ちょっとこの雰囲気、ランギロアのどこにもないのではないかしら。ゲスト用バンガローも、中までは見なかったけれど、大きくて、室内のインテリアや調度品にもこだわりがありそう。ジャクージがついているというのは、本当かしら。うーーん、中が見たい! マダムがいた。ゲストらしき男性と、話をしている。あいさつをして、土曜日の予約をする。今度、取材させてもらおうかな。

8月7日(火)
長かった休暇(失業状態)も、あと数日を残すのみとなった。
午前中に、ヘリコプターを飛ばしに行くという夫にくっついて、私とポセイドンも支度をする。
ポセイドンは水とリードとバスタオル(海に入るので、体を拭くため)、私はデジカメと雑誌と文庫本。
雑誌は、7月に日本で仕入れてきた「和のリゾート極上案内」と「至福のリゾートホテル案内」。
パレオも一枚、忘れないようにしなくちゃ。砂の上に座るとき、風が強くて寒いときなど、何かと役に立つ。いつもの場所へ行く前に、キャロリーヌのところへ顔を出したら、ちょうどイルカのパレオを仕上げているところだった。村の人の噂話(?)をして、3人で笑ったり顔をしかめたり。
しばらく一緒に食事をしていないし、今度の土曜日、うわさのルレ・ジョゼフィーヌに、3人でディナーしに行くことになった。

8月6日(月)
朝から強い風が吹いている。
先週の月曜日も、一日中雨が降る肌寒い日だった。

とうとう、TNTVの申し込みをしてしまった!!
午前中に郵便局へ行って、TNTVの申し込みをしたいんだけど、とおじさんに聞いたら、住民票と身分証明書コピーが必要だと言われ、その足で(といっても車に乗って)村のMairie(メリー、村役場)へ。ルンルンしながら郵便局へ戻り、申し込み用紙に記入。「パラボラはどれくらいで来るの?」とたずねたら、「さあ〜」。夫が「1ヶ月?それとも3ヶ月?」などと笑いながら言ったら、「1ヶ月か、それとも一年かな」。私は笑った顔が引きつった。ここ数日TVが写らないことで、申し込みが殺到しているのかもしれない。うちのTVにチャンネル選択権が与えられるのはいつの日か・・・。

夜、どうせTVはないのだから、ビデオでも見ようと電源を入れたら、なんと復活している!!
情報のありがたさよ。久しぶりの「Urgences」(「ER」です)を見る。話がどうなっているのかわからなくなってしまった。

8月4日(土)
月が明るい。昨日が満月だった。くっきりと、まあるいお月様。まるで電気がついているみたいに、びっくりするくらい明るい。今日の昼は、我が家の庭で久しぶりにバーベキューパーティをした。参加人数は、自分たちを入れて、大人10人、子供2人。こんな大人数は初めてだったので、うまく行くか心配だったけれど、上々の天気と、おいしい空気、さわやかな風に助けられて、みんな楽しく過ごせたと思う。
メニューは、鳥の唐揚げ、ちらし寿司、カレーライス、ペロケ(南洋ブダイ)の1匹丸ごと炭焼き、Mさんの旦那様が釣り上げたカジキマグロの刺身、ポワソンクリュ、などなど。ポワソンクリュは野菜や魚だけ準備しておいて、その場でココナッツミルクで和えた。ココナッツミルクは、庭のココナッツをいくつか見つくろって皮をはいでおいたのを、その場で割って、お客様みんなに、ココナッツ削りを体験してもらった。削りだしたココナッツの内側を、布でしぼると、ほ〜らココナッツミルクの出来上がり!ポワソンクリュには、新鮮なココナッツミルクが一番! なんて、さもしょっちゅう作っているようだけれど、ちゃんとしたPoisson cru au lait de cocoを我が家で作ったのは、これが初めてでした! おいしかった。デザートは、タロイモアイスクリーム。好評だった(自家製というわけではありません)。

子供たちが、9歳と5歳とまだ小さかったので、ポセイドンが「自分のほうが上!」といじめやしないかと心配だったけれど、杞憂に終わった。ちょっとナーバスになってはいたけれど、おとなしく子供たちに遊んでもらっていたようだ。

8月2日(木)
私たちの毎夕の散歩コース、コレージュ(中学校)前の道を外洋側に入り(そこまでは車で行く)、ウォーキングシューズに履き替えて、出発。石っころ(に見えるけれど実はすべてサンゴの死骸)が累々と続く、山あり谷あり(?)の道を、リーフに砕ける波と青い空とポセイドンのお尻を見ながら、歩く。往復1時間弱の道のりだ。毎日同じコースだから、何か違うことがあると、すぐに気が付く。特に面白いのは、漂着物や、誰かが捨てたらしきもの、風で飛んできたもの、忘れ物・落し物・・・。かなり前には、イルカの死骸が、散歩道にとうせんぼするように横たわっていたことがあった。蝿たちがたかって卵を産み付ける時期はとうに過ぎていたけれど、それがイルカだということが判別できるくらいには原型をたもっていた。私たちはそれを、「イルカのミイラ」と呼び、毎日毎日その横を歩いた。それは毎日、少しずつ、風化していった。 うーん、なんだか純文学調になってきた。退屈でしょうから、話題を変えて。

そして、いつもの見慣れた散歩道。「あ、あれはなんだ?!」。竹のような木で作った小さないかだが、波打ち際に漂着していた。フィルムケースがくくりつけてある。
私と夫はそばへ駆け寄り、思わず叫んだ。「うぃるそぉぉぉぉんん!!!」。私たちって、なんて気が合うのかしら。掌に乗るくらいの小さないかだだ。フィルムケースを開けると、思ったとおり、紙切れが入っていた。どこから流れ着いたのだろう。いかだは、そんなに荒波を越えてきたような雰囲気を漂わせてはいない。紙は、こっちでよく売っている、四角い升目の入ったやつだ。フランス語で書いてある。「7月29日、ランギロアにて・・・・このメッセージを受け取った方は、私たちに葉書を送ってください。すてきなプレゼントを差し上げます。ピエールとマリー」フランスの住所が記してある。

うーーーん。かわいそうに、どこでこのいかだを放ったのかは知らないが、彼はパスを越えて大海原へ出ることはできなかったのだな。撮影したり、「つかまれウィルソン!」「ごめんよ、ウィルソーーン」などと、さんざん遊びながら、どうすべきか悩んだ末、そのまま置いておくことにした。ランギロアの住人が、このメッセージに返事をするのもまた一興かとも思ったけれど、やはりなんだかピエールとマリーの夢をこわすようで申し訳ない。外洋へ出て行く貨物船などに頼めばいいのかもしれないけれど。

8月1日(水)
数日前から、1チャンネルしかないTVが死んでいる。いつものように夕方のニュースの時間にTVのリモコンを押したら、真っ黒い画面が現れた。ビデオを見るときにいじってしまって、設定が変わってしまったのかな。いろいろいじっても駄目。これはうちのTV自体の問題ではない。
植え込みごしに、お隣の家のTV画面がちらついて見えるのを思い出して、庭に出て見てみる。真っ暗だ。またストライキをやっているのだろうか。でもそれなら、色見本のような画面(テストパターンと言うのでしたっけ?)が出ているのが常なのだが、真っ暗で、おまけに完全な無音状態。
知り合いに聞いたら、サテライトの使用料だか(年間1億5500万フラン)を、政府が払っていないからなのだそうだ。そんなことがあっていいのか。FMラジオも入らない。ランギロアもそうだけれど、もっと条件のきびしい離島に住む人たちにとっては、唯一無二の情報源ではないか。
そうか、これは1年ほど前から導入された衛星TVに、みんなを加入させようという魂胆だな。TNS(タヒチ・ヌイ・サテライト)といって、パラボラアンテナをつけて毎月契約料を9000フランほど払えば、映画やスポーツやらドキュメンタリ、アニメなど、チャンネル数がどかんと増えるのだ。これにさらに3000フランほど足すと、インターネット(受信のみ)も衛星でできるのだそうな。が、月々9000フランは決して安くはないし、普段は忙しいからTVを見ている暇もない。それでずーっと契約せずに来たのだが、いつごろからか村を通ると、あんなにオンボロな家なのに(失礼!)真新しいパラボラがついている・・・という家が増えたことよ!みんな金持ちだな、定収入のある人って、この島にはそんなにいないと思うんだけど・・・。などと思っていたら、新たな情報が。最初に11000フランを出してパラボラなど機械一式を買えば、1チャンネルだけなら無料で見られるようになったのだという。知らなかった・・・ この機会に、わがやもパラボラを取り付けようか。

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